八海山といっても酒の話ではない。越後の霊山、八海山にはじめて登ったのである。
郷里の佐渡に久しぶりに帰ろうとしたら台風19号で欠航になるから来るなと長兄がいう。そこで八海山に登ることにした。
(小生ご幼少のころ父が農閑期に八海山によく佐渡島から出かけていたものだ)
千葉を朝早く車で出発。台風の前兆かどんより曇っている関東平野であったが谷川岳のしたの関越トンネルを越えると青空だった。六日町インターで降りて八海山ロープウエイに乗って、ブナ林の紅葉のなかを歩くと体全体が黄色に染まりそう。六合目の女人堂にまでやっと登って八海山の前山の薬師岳の紅葉をみながら昼食。女房が小さい緋毛氈をしいてポットのお湯で野点。御嶽山噴火犠牲者の冥福祈ってまず献げ、合掌した。
越後三山のひとつ中岳が手に取るようにみえ、谷川岳、巻機山もちかい。西はるかに妙高、北に米山もみえるが日本海にはモヤがあって佐渡島はみえない。山道の途中に小さな池があってモリアオガエルのオタマジャクシが盛んにしっぽをふって泳いでいる。あと一ヶ月ちょっとで何メートルもの雪に埋もれるというのに。
西日に赤く燃える山嶺をみながらロープウエイで麓に下ると一面のススキが夕風にゆれていた。
おりとりて はらりとおもき すすきかな
と飯田蛇笏の名句がハラリと浮かんだのは殊勝。
魚沼高原ホテルに向かう途中「戦争する国許しません魚沼九条の会」というポスターのある店で酒を買った。一番うまい酒くださいと言ったら、おかみさんが迷うことなく『鶴齢=かくれい』をすすめる。わが家の隣のおじさんへの土産に『八海山』も買ったが「いちばん安いのが本当はいちばん美味しいですよ」と耳打ちしてくれた。ホテルの若いフロントマンは「ぼくは『緑川』がいちばん好きです。つぎが『高千代』。『久保田』と飲み比べても負けません」などという。
まことに越後魚沼は米どころ酒どころなのである。
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