加藤周一『日本文学史序説』は根気がなくて途中で投げ出してしまった。知らない話がえんえん続くと駄目なんである。(巻末の索引は便利) もっとも『居酒屋の加藤周一』(かもがわ出版)とか自伝的小説『羊の歌』などは楽しく読める。
もっと安直な読書案内はないかと米原万里『うちのめされるようなすごい本』を読んでみたら、これでもかこれでもかと、面白すぎる本の紹介が次々と山のようにでてきて食傷気味となり、かえって私の読書欲がうちのめされてしまった(^^) 三千人の美女に囲まれて暮らす中国皇帝の気分のようなものかと書くと不謹慎なたとえだが、万里さんだって『パンツの面目 ふんどしの沽券』なんて愉快な本を出している。彼女が超一流のロシア語通訳者であり無類の愛猫家であったことを知った。
人には持ち前の波長がある。
右遠俊郎『読書論ノート』(青木書店1980)だけはいまも枕元にある。この作家の本はこれしか知らないが、右遠が人生のおりおりに読んだ数十冊の本の紹介が役に立った。この本で樋口一葉も石川啄木も読み方を教わったし、中島敦『山月記』も知った。
たとえば、鷗外『舞姫』の読みどころを右遠が「背信と苦悩のバランス」と題してのべているくだりの一節はこんなぐあい。
(ドイツ留学でエリスとの恋に破れた豊太郎は)
・・・時にはエリスのことを思い出して人知れず涙をこぼし、こぼれた涙で満足しながら立身出世の道をすすんでゆくだろう。
豊太郎は「弱くふびんなる心」の持ち主だと自分で考えているが、その弱い心で、現実との厳しい対決を巧妙にすり抜けてゆく。どんな事態に際しても、けっして傷つくことなく素通りしてゆくことのできる人間、豊太郎のような人間こそ、権力が要請するエリート官僚のひとつのタイプではないだろうか。
もっと安直な読書案内はないかと米原万里『うちのめされるようなすごい本』を読んでみたら、これでもかこれでもかと、面白すぎる本の紹介が次々と山のようにでてきて食傷気味となり、かえって私の読書欲がうちのめされてしまった(^^) 三千人の美女に囲まれて暮らす中国皇帝の気分のようなものかと書くと不謹慎なたとえだが、万里さんだって『パンツの面目 ふんどしの沽券』なんて愉快な本を出している。彼女が超一流のロシア語通訳者であり無類の愛猫家であったことを知った。
人には持ち前の波長がある。
右遠俊郎『読書論ノート』(青木書店1980)だけはいまも枕元にある。この作家の本はこれしか知らないが、右遠が人生のおりおりに読んだ数十冊の本の紹介が役に立った。この本で樋口一葉も石川啄木も読み方を教わったし、中島敦『山月記』も知った。
たとえば、鷗外『舞姫』の読みどころを右遠が「背信と苦悩のバランス」と題してのべているくだりの一節はこんなぐあい。
(ドイツ留学でエリスとの恋に破れた豊太郎は)
・・・時にはエリスのことを思い出して人知れず涙をこぼし、こぼれた涙で満足しながら立身出世の道をすすんでゆくだろう。
豊太郎は「弱くふびんなる心」の持ち主だと自分で考えているが、その弱い心で、現実との厳しい対決を巧妙にすり抜けてゆく。どんな事態に際しても、けっして傷つくことなく素通りしてゆくことのできる人間、豊太郎のような人間こそ、権力が要請するエリート官僚のひとつのタイプではないだろうか。
←ここんところは国税庁長官に出世なさったあの方そっくりではないか
0 件のコメント:
コメントを投稿