個人がある政治的決断(たとえばどこの政党の政策に賛成するか)を行う時は、個人の考えというよりも周囲の社会の空気に順応して、それに合わせてしまう事がとても多い事は良く知られている。その事に関して社会心理学者のアッシュが行った有名な実験を紹介したい。雑談のネタにしていただければ幸いです。
10人くらいの参加者のグループがある。全員に図のような二枚の紙が示された。そして、図Aに書いてある1本の線を見てから、次に図Bの三本の先の中から同じ長さのものを、それぞれの参加者の判断で選んでもらったのである。無作為につくられたごく普通の集団では、ほとんど全員が正しい答えを選び、(ここでは図Bの③)正解率は98%に達した。次に二回目の実験が行われた。今度は、本当の実験参加者は一人だけで、他の集団のメンバーは全部サクラである。その参加者の回答順序を最後にしておいて、自分の番がくるまで、残りの回答者の答えを聞いていてもらった。ところがサクラたちが選んだ答えはわざとほとんど全部が間違った答えを選んだのである。
その結果はどうなったか。それを聞いていた最後の実験参加者は、実にその1/3がみんなと同じ間違った答えを選んだのである。これはアッシュの同調性実験とよばれて、違った形で何回も確かめられている有名な心理学実験である。この事は何を示すか。それは個人は、集団から強要されると、間違った考えであってもそれを正しいとみなしてしまうという事なのである。しかし、考えてみると人間というのは何と情けないくらいに、ふらふらしている動物なんだなあと思いませんか。どう見たって、間違えようのない答えでも、まわりが言うだけで、簡単に動揺して回りの人間にくっついていこうとするのである。こうなると確信だの信念なんてものもあんまりあてにならない。
ヒトはなんでこう愚かなのか。 戦艦大和の特攻作戦の過程を研究した人がいる。結論からいうと、いくら調べても最終的責任者はだれだかよくわからなかったそうだ。そのかわりに、最後まで全体を支配していたのは、ひとつの「空気」である。わあわあとみんなでさわいで、だれも責任をとらず、結局みんなで破滅していく。これはいったい何なのだ。
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