台風一過、急に暑くなった。昨日からエアコンを入れている。しかしこの深閑とした夏のたたずまいは嫌いではない。
さて七月度仁句鑑賞。
1.合歓の花予約の取れぬ指定席
長距離列車の切符なのか、ホテルの予約なのか、はたまた芝居のチケットか。合歓の花は夕暮れに咲いて、儚げな印象がある。ちょっとやるせない気分だね。
2.御喋りがふわりと消へて夏座敷
会話が何となく途切れる瞬間ってあるね。これを機に奥方はお茶の入れ替えに立ったりする。ここに逸徳氏あたりがいれば、決してそう言うことはないのだろうが。準特選。
3.三伏の間の取り方や父に似て
三伏―まあ、簡単に言えば極暑の候か。間の取り方とはいろいろ考えさせるが、暑気へのむかい方のようなことかな。慣習、癖のようなこと。ふと父親の癖を思い出したりする。私はあまりそういう感覚はないのでよく分からない。
4.はたた神変身をする三歳児
雷。いなびかり、落雷。三歳児にとっては驚天動地。すっかり取り乱してしまった。
5.老鶯や伝言板の消した跡
春過ぎて、すっかり鳴き方に慣れた鶯。ちょっと夏の気だるさを描いている。特選。
6.星月夜人はいびつに減りはじむ
年齢人口分布の変則的な形を言っているのだろう。正規分布形は大きく変形して、釣鐘形から根もとが先細りみたいになったいく。この先成人一人が三人の老人を支えねばならないとか。そのうちに働かない老人はさっさと退場してもらわねばならなくなるか。冗談ではなく。
7.昭和まで逆上がりして雲の峰
いささか跳んでいるね。昭和の時代を懐かしんでいるのかな。昭和は激動であったが、それなりに理解できる。平成の御代はどうなるのか。溶解していくような不気味さがある。
8.炎帝に面従腹背ダンゴ虫
だんご虫。枯葉の下で、天下泰平であるが一旦剥ぎ取られると、真ん丸に身を丸めて、さあ何とでもしてくれという風情。この虫の天敵はなにかな。
9.青鷺のト音記号の揺らぎかな
アオサギは雰囲気のある鳥。水辺でじっと水面を睨んでいるかと思うと、ビルの屋上などにとまって、世情はいかがかと辺りを睥睨している。ト音記号の形に似ているかな。
10.七月のオウンゴールの涙かな
七月の自殺点とは何か。判らない。安保法制の衆院通過。まさかね。
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