2017年1月3日火曜日

 女は、たとえ男がどんな悪者であったとしても一度愛してしまったら、愛する男の命を奪ったやつは許さないのだ。そいつが、男の無二の親友だったとしても。
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 売れないアメリカ人作家マーチンスは旧友ハリーからの仕事の誘いで英米ソ仏四カ国軍の管理する戦後のウイーンを訪ねるが、ハリーが事故死したときいて驚く。
 ところが、偽ペニシリンを売りさばいておおぜいの子どもたちを犠牲にして逃走しているマフィアが死んだはずのハリーかもしれないと英軍少佐から聞かされて、信じられないマーチンスはハリーへの友情から事件の真犯人である「第三の男」を捜し出そうと決意してハリーの恋人アンナに会う。
 観覧車のなかで薄笑いを浮かべ、生きていたハリーこそ「第三の男」だった。マーチンスは逃げたハリーを追う。そしてウイーンの地下水道に追い詰められたハリーはついに旧友の銃弾に倒れるのだ。
 『第三の男』のラストシーン。
 ハリーを埋葬後、落ち葉が舞う晩秋の墓地の並木道を恋人を失ったアンナが歩いていく。マーチンスはアンナにあやまり、慰めようと未練もあって路傍で待つが、彼女は一瞥もせず彼の前を歩み去って行く。少佐の運転するジープで追いかけて「乗っていかないか」と誘っても知らん顔、フン何よ!
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 アントン・カラスのチターに胸かきむしられ青春の日にみた『第三の男』であった。(キャロル・リード監督1949年 原作はグレアム・グリーン)

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