『暴露 スノーデンが私に託したファイル』を読む・・ 褌子
『暴露――スノーデンが私に託したファイル』(グレン・グリーンウォルド・新潮社2014年5月)を読んだ。
エドワード・ジョセフ・スノーデンは、アメリカ国防省の国家安全保障局NSAとCIAという合衆国の二大諜報機関に籍をおいていた。9・11以降、NSAがアメリカ全国民(全国民!)の個人的な通信情報、電話通話記録もメール内容もブログはむろんフェイスブック発言もインターネットの閲覧履歴さえもすべて収集し、3万人ものNSA職員、6万人の下請け会社をつかって分析し、アメリカ政府が合衆国憲法に違反して国民の個人情報のすべてを極秘で集めていることに、生来の正義感からどうしても憤りを隠せない。呻吟のあげく29才のスノーデンはNSAの最高機密情報をごっそりもちだして、香港に逃亡。アメリカ政府の謀略や政府と癒着しているマスメディアの堕落を追及してきた実績をもつジャーナリストで弁護士のグレン・グリーンウォルド(42才・ブラジルのリオ在住)に、香港で密会しすべての情報を提供するのである。
グリーンウォルドと絶対の信頼関係をもつ数名のチームが英紙ガーディアンをつかって一切を世界に暴露する。昨年の5月21日のことだ。9・11以降、「テロとの闘い」を名目に監視国家に変貌したアメリカの恐るべき実態が白日の下にさらされる。本書には最高機密文書も多数収録されていて煩瑣でもあるが読み応えもある(アメリカ資本主義の腐朽はここまできているのかという感懐も絶えず)。
マイクロソフトもアップルもグーグルもヤフーもFacebook社もAOLもインテルもIBMもモトローラもA&AT社も、NSAと極秘契約を結び協力させられていた。ニューヨークタイムスもワシントンポストもグレン・グリーンウォルドは信頼していない。まさにジョージ・オーウエル『1984』を地でいく世界ができあがっていたのだ。(本書ではTwitter社は協力を拒否したと書いてある)
フェイスブックもユーチューブもスカイプもそしてgoogleメールも全部、NSAは収集していた。すべてを収集しすぎたために取捨選択でいつも混乱がおきたともスノーデンは告白している。(ドイツのメリケル首相の電話もNSAが盗聴していた証拠があがって、メリケルはカンカンになってオバマ大統領に抗議した。在米日本大使館の通信がすべてNSAに盗聴されていたことも明らかになったが、日本政府は抗議しなかった。日米軍事同盟のもとNSAの収集した日本国民の情報は内閣調査室、公安調査庁や新設された日本版NSAにオンラインで提供されているのではなかろうか)
私はフェイスブックの愛好者であるが、私の書いたこと、写真もすべてアメリカのFacebook社の巨大なハードディスクを通じてNSAが閲覧しようと思えばいつでも原理的には閲覧可能であったことを本書で知った。
スノーデンの命がけの告発で(米政府から逮捕請求されているがロシアに亡命中といわれている)現在のNSAがどの程度、情報収集活動を自己規制しているかは知らないが、日本も秘密保護法が強行され、日本版NSAが創設された今、着々と国民監視システムが構築されていることは疑いえない。住基ネットから国民総背番号制の導入も画策されている。
秘密保護法のむこうは全く何も見えないが、向こうからはわれわれ国民は丸見えなのである。秘密保護法の廃止なくして国民主権の民主日本は決してありえないのだと痛感した。
インターネット技術はもともとはアメリカ国防総省が開発したが、全世界で活用されて長きにわたり、民主化と自由化を促進し、抑圧からの解放さえもうながす前代未聞の利器であると歓迎されてきた。
しかし、インターネット社会の光と闇の両方をわれわれは知るべきである。
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